【白鳥の庭】 > 【諏訪緑 作品file】 > 【諏訪緑にたどり着くまで】


キャリアからすると不思議なほどマイナーな作家・諏訪緑をネット上で応援すべく、作品目録など作ってみようかと思ったのですが、考えたら手元に単行本がほとんど無かった。昔同居していた弟に「玄奘西域記」を全巻持って行かれてしまい、「うつほ草紙」からは買いそびれていて気づいたら絶版状態。何故なんだ小学館(怒)。そんなわけで目録は、データの揃っているあたりから。

諏訪緑にたどり着くまで


昭和40年代前半生まれである私の最初の漫画は「キャンディ・キャンディ」でした。学童保育所の友だちがよく『なかよし』を持ってきていて、見せてもらっているうちに好きになったのです。親にねだって既刊の1〜4巻までを買ってもらい、その後『なかよし』系の単行本をこつこつと集めるようになりました。

4年生の時に引越しをしたのですが、新しい学校で出会った友だちが漫画好きの子ばかりで。彼女たちは教室の後ろにあるロッカーの一角を勝手に漫画専用の棚にし、学級(私設)漫画文庫を作っていました。自分の本を提供する代わりに友だちの本が借りられるのです。先生に怒られた記憶が無いので黙認してくれていたのでしょう。それまで『なかよし』系しか知らなかった私はここで初めて「ベルサイユのばら」他、マーガレット、りぼん、フレンド、プリンセスなどの各少女誌、作品を知ることに。

その後、上原きみこにハマリ、小学館系の雑誌、主に『少女コミック』を読むようになりました。しかしその熱も中学に入った頃から急速に冷めていき、自分で本や雑誌を買うことはほとんどなくなり、友だちが学校に持ってきたものを借りてその場で読む程度に。中学時代の友だちは白泉社系を読んでいたらしく、本で覚えているのは「ガラスの仮面」「パタリロ」など、雑誌は『LaLa』『花とゆめ』でした。そのまま何事もなく過ぎれば漫画を読まない大人になっていたかも知れません。

しかし高校生の時。いつものように友人が持ってきた漫画を昼休みに読ませてもらおうとしていました。他の巻は別の友人が読んでいたので、半端な巻だけどまあいいや、と手にしたのが「日出処の天子」の4巻。私が苦手とするタイプの絵だったのでいつもだったら借りなかったのに、その日は何故か読んでみようと思ったのです。適当に読み飛ばしながらでも暇つぶしができればいいや、と。

ところが。「衝撃を受けた」としかいいようがない。騒がしい昼休みの教室で、ひんやりとした空気まで感じるほど。話も登場人物もそれまで読んだどの漫画とも違うのに驚き、チャイムが鳴っても止められず授業中も読み続けました。最初から読みたい。でも1巻は別の友人が借りて持ち帰ることになっていた。迷わず本屋に駆け込み1〜4巻を購入。翌日には残りの既刊分をすべて購入。小学校卒業以来冷めていた熱が再び戻ってきたのでした。

掲載誌を読んでいたにもかかわらず絵だけで判断して食わず嫌いをしていたために、それまでまったく読んでいなかったのが悔しい。しかし完結するまではもう読めない・・・。学校で回ってくる『LaLa』を手にしても注意深く掲載ページを避けて読む日々が続き、私が正式に『LaLa』読者となったのは「日出処の天子」完結直後からでした。木原敏江、森川久美など、私が適当に読んでいた頃に描かれた作品を単行本で集め、あらためて感動。名作といわれる萩尾望都の過去の作品も手に入れ、いつの間にかディープな漫画読みになっていました。

この後も『ASUKA』創刊時に、今はNHK「お江戸でござる」の先生で有名になってしまった杉浦日向子などの作品に出会い、衝撃はしばらく続きました。『プチフラワー』を購読するようになったのは高校卒業後あたりで、森川久美が「南京路に花吹雪」の続編「Shang-hai1945」を連載し始めた頃。当時は「華やかなんだか地味なんだかわかんない雑誌だな〜」くらいの印象だったのですが、今思い起こせばかなり豪華。けれどだんだんと、もう漫画って年でもないだろうし20歳になったら好きな作家の本だけ買って、雑誌はもういいかなと思い始めていました。そんな1988年に衝撃第二波が。

『プチフラワー(PF)』3月号で西炯子と紫堂恭子がデビュー。ほんとに新人?ってくらいよく描けていてPF買っててよかった!と思いました。この号ではShang-hai終了から半年振りに森川久美が短編を描いてくれていて、そして諏訪緑の「おろち舞」が載っていたのでした。20歳を過ぎてからはディープな漫画読みではなくなりましたが、この号の輝きが忘れられず、その後もずっと発売日買いの読者です。雑誌の傾向が変わって「読めるものが少なすぎる〜!」と飢餓状態が続いても、いつかあの頃のような素晴らしい号が現れるのではと夢を見つつ。諏訪緑が読めるのはPFだけだし廃刊にでもなったら永久に諏訪作品は読めなくなるかも(失礼)という恐怖感から買い続けてます。『フラワーズ』にリニューアルしても。

諏訪緑のデビューは1984年の5月号に(木原敏江の「夢の碑・第一話」、萩尾望都「メッシュ」、佐藤史生「夢みる惑星」、竹宮恵子「風と木の詩」他、山岸凉子、森脇真末味などのすごい作家&作品の中)掲載された「バラモンの塔」みたいですが、84年に三作ほどが載っただけで88年までほとんど空白だったと思います。他誌で描いていたのかもしれませんが、だからこの年が再デビューみたいな感じ?でした。
No.69 3月号 1988/1/26 表紙/吉田秋生
作品 作者 サブタイトル
完全犯罪 フェアリー 萩尾望都
親指姫 坂田靖子
ファンシィ ダンス 岡野玲子
なんたって桃の湯 小道迷子
水面の郷・水底の守 ささやななえ
辺境警備 紫堂恭子 辺境警備/踊る子馬亭
待っているよ 西炯子
毎日が日曜日 深谷かほる
ザ・シングス・ウィ・ドゥ・フォー・ラブ 森川久美
おろち舞 諏訪緑
金のアレクサンドラ 文月今日子
銀の糸 奈知未佐子
西炯子、紫堂恭子デビュー。
No.70 4月号 1988/2/26 表紙/岡野玲子
作品 作者 サブタイトル
完全犯罪 フェアリー 萩尾望都
ファンシィ ダンス 岡野玲子
草原の輝き 坂田靖子
ファン・ハウス 高瀬祐子
なんたって桃の湯 小道迷子
月の家V 森脇真末味
魚鱗 上杉可南子
パーフェクト・ジェントルマン 波津彬子 千客万来
薪のおばばの里帰り 奈知未佐子
水面の郷・水底の守 ささやななえ
辺境警備 紫堂恭子 夜の鏡
こちら豪雪地帯 斎藤結子
華の線影 真木しょうこ
今は蝶 川端のりこ
波津彬子「パーフェクト・ジェントルマン」連載開始。
No.71 5月号 1988/3/26 表紙/森脇真末味
作品 作者 サブタイトル
グランドロマン 木原敏江 (摩利と新吾欧州秘話)
バイバイ ファージ 奈知未佐子
ファンシィ ダンス 岡野玲子
パーフェクト・ジェントルマン 波津彬子 秘密の花園
お茶でもいかが 倉多江美
その後のランナー 西炯子
月の家W 森脇真末味
なんたって桃の湯 小道迷子
邪論の極意 諏訪緑
水面の郷・水底の守 ささやななえ
辺境警備 紫堂恭子 鉄商人の娘
パンのお話 谷口由良
ASUKAに掲載された「ユンター・ムアリー」の続編「グランドロマン」が巻頭に。
なかなか豪華な顔ぶれの中でがんばってます。「邪論の極意」は殺生アレルギーの諸葛孔明が国策・難問・難事から黄承彦先生のところへ逃げてくる話。黄氏の娘は「時の地平線」の英さんよりも気の強い女の子。この後もギリシャ神話ものなどを年に数本というペースで(PFが隔月刊になってしまったし)描いていましたが、90年7月号に「紀信」、11月号に「ネフェルティティの胸像」、91年3月号に「玄奘西域記/高昌国の巻」が掲載され、隔月刊の隔号掲載というスローペースながらも、良い話を描く作家として受け入れられていったように思います。ちなみに「玄奘西域記」連載スタート時はこんな感じ。
    
No.93 3月号 1991/1/26 表紙/萩尾望都
作品 作者 サブタイトル
ジュリエットの恋人 萩尾望都
辺境警備 紫堂恭子 世界の箱庭<前編>
玄奘西域記 諏訪緑 高昌国の巻
ルネッサンス 秋里和国
ライアンの娘 坂田靖子
一人で暮らす理由 西炯子
なんたって桃の湯 小道迷子
天女のやさしい手 上杉可南子
ジャングリズム 大竹サラ
アンダー 森脇真末味
天使の釣り鐘 奈知未佐子
「ルネッサンス」最終回。
No.94 5月号 1991/3/26 表紙/秋里和国
作品 作者 サブタイトル
疾風のまつりごと 竹宮恵子
バスで四時に 高野文子
辺境警備 紫堂恭子 世界の箱庭<後編>
雪しるべ 奈知未佐子
アンダー 森脇真末味
ジャングリズム 大竹サラ
ルミネ前午後3時 青山広美
感謝知らずの男 萩尾望都
ライアンの娘 坂田靖子
9月 −September− 西炯子
なんたって桃の湯 小道迷子
No.95 7月号 1991/5/25 表紙/高野文子
作品 作者 サブタイトル
辺境警備 紫堂恭子 神聖銀 −セライア−
クリームソーダ 深谷かほる
なんたって桃の湯 小道迷子
TOKYOの花 下村富美
感謝知らずの男Part2 萩尾望都
疾風のまつりごと 竹宮恵子
ライアンの娘 坂田靖子
玄奘西域記 諏訪緑 屈支国の巻
ジャングリズム 大竹サラ
アンダー 森脇真末味
鬼神 晃月秋実
日の影 月の影 奈知未佐子
つくづく、88年〜91年頃の私は西炯子、紫堂恭子、上杉可南子、諏訪緑がいたからPF読者だったのだなぁと思います。現在、西炯子は話も絵もあまり好きではなく、紫堂恭子も角川へ移った後の作品はどうも、という感じ。上杉可南子はもう全然別人になってしまったような。諏訪緑も「玄奘西域記」以降は本を集めるほど熱心なファンだったわけではないのですが(後悔してます。今必死に集めてます。)、三国志の諸葛孔明を主人公にした「諸葛孔明 時の地平線」(現在小学館『フラワーズ』にて連載中!)はとてもいい感じです。期待してます。


※掲載誌資料は97年7月号〜98年1月号に載った保存版・特別企画「プチフラワー17年のあゆみ」を参考にしました。敬称略。

(02/05/22)


【白鳥の庭】 > 【諏訪緑 作品file】 > 【諏訪緑にたどり着くまで】


Copyright (c) 2001 Kumi All Rights Reserved.