| SWAN LAKE |
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ADVENTURES IN MOTION PICTURES マシュー・ボーン:監督・振付 「白鳥の湖」 |
| 1998年6月。土曜の深夜にやっているNHK-BS2の「クラシック・ロイヤル・シート」にチャンネルを合わせたところ、不思議な踊りが目に入った。舞台にはシンプルなセット。音楽はチャイコフスキーの『白鳥の湖』だけれどオデットも王子もいない。上半身裸で、白い羽がたくさん付いたズボンをはいて踊っている男の人たち。 なんとそれは男性による『白鳥の湖』だった。4羽の白鳥も男性。ギリシャ彫刻のように美しい白鳥の青年と、少々ひ弱そうにみえる王子が惹かれあい恋に落ちていった。そして王室舞踏会。黒のシャツとレザーパンツに身を包んだ青年が王子を惑わし破滅へと追いやる・・・。 これが私とアドヴェンチャーズ・イン・モーション・ピクチャース(AMP)版『SWAN LAKE』との出会いでした。 1995年11月にロンドン・サドラーズ劇場で初演された、まったく新しい『SWAN LAKE』は大成功を収め、4ヶ月ものロング・ランになったそうです。イギリスではローレンス・オリヴィエ賞を受賞。1997年にはアメリカ(LA)で公演を行い高い評価を得ました。 新作を挟んで1998年、再び『SWAN LAKE』で今度はNYブロードウェイ公演。これももちろん大成功。そしてこの結果、舞台のアカデミー賞であるトニー賞にノミネートされたのです。ミュージカル主演男優賞にノミネートされていたSWAN役のアダム・クーパーは、残念ながら最優秀男優賞には選ばれませんでしたが、マシュー・ボーンが最優秀振付賞と最優秀ミュージカル監督賞を、衣装のレズ・ブラザーストンが最優秀コスチュームデザイン賞を受賞しました。 AMP版『SWAN LAKE』で注目されるのはオデット/オディールが存在せず、男性の「白鳥」と彼にそっくりな「報道官の息子」がいるという点です。そして王子もまた古典的「白鳥の湖」の王子とは異なります。 振付家のマシュー・ボーンはインタヴューで白鳥と王子について次のように語っています。「過去150年に遡ってより幅広くヨーロッパの王室を研究した。その結果、僕たちが調べた国王や王子には明らかに共通点があることがわかった(例えばバヴァリアのルートヴィヒ王、エドワード7世、ウインザー公、ジョージ6世など)。彼らが生まれながらに与えられた君主の仕事に適応できない原因は、彼ら自身の性格的な欠点にあることを発見したのだ。」「”白鳥”は王子にとってこうありたいと願う理想像で、それは力強く、美しく、そして自由だ。”白鳥”は王子の心の状態や感じているムードを映している、もう一つの自我なのだ。」 私はとにかく主演のアダム・クーパーの踊りと演技に魅せられてしまい、AMPファンというより完全なアダム・ファンで、なんとか彼の踊りを観ようと1999年のAMP「シンデレラ」LA公演を狙いました。しかしこの頃から仕事が忙しくなり断念。このあと何度も彼の舞台を観に行こうとしましたが、仕事の都合であきらめ続けました。 ヨーロッパへ行くのはとうぶん無理、と暗い気持ちになっていた2001年2月、ロイヤル・バレエ・スクール時代からの友人である熊川哲也のK-Balletカンパニー日本公演にアダムが参加。ようやく、彼の舞台を観る機会を得たのです。アダムの『牧神の午後』は本当に素晴らしかった!2年半分の想いもあり、渋谷・オーチャードホールへ2回、NHKホールへ1回と、計3回も観に行ってしまいました。 また、同時期に、アダムがほんの数分出演して話題になった映画『リトル・ダンサー』が公開されました。この映画がヒットしたおかげでバレエ雑誌以外でも彼を見かけるようになり、ファンとしては嬉しい限りです。 『Showbiz』 Nov. 17, 1995 - "Swan Lake" 『NVC Arts』 Featured Video: "Swan Lake" 『Great Performances』 - Swan Lake - 私のお気に入りシーンは、第二幕と第三幕です。白鳥と王子のパ・ド・ドゥは神秘的で、でも優しく暖かい感じもして、何ともいえない美しさがあります。 そして第三幕、遅れてやってきた報道官の息子!各国の王女と戯れで踊るシーンも、彼女たちから離れると突然「どうでもいいさ・・・・」とまったく情熱も何もなくなってタバコをふかし始めるアダム。かっこよすぎます! また、女たち全員がアダムの前で彼の視線を意識しながら踊るシーン。アダムは観客に背を向けて舞台に横たわり、これもまた「どうでもいい」といった様子で女たちを眺めています。 しかし、いったん踊りの輪の中に入ると、完璧な踊りとリードで女たち、特に女王を夢中にさせていく・・・。本当にあの白鳥と同じダンサーが演じているのか、はじめて見た時は最後までわかりませんでした。王子を嘲笑う時の目も本当に悪魔的。第二幕と第三幕のアダム・クーパーは、ダンサーとしても演技者としても素晴らしい。映画『リトル・ダンサー』を観て何となく気になった方は是非!この作品を観て頂きたいです。 そして2002年4月のAMP日本公演。演目は『The Car Man』、男性版『カルメン』だそうです。さすがAMP。アダムはフリーのダンサーですから、この日本公演には残念ですが参加していません。ですが、AMPのようなバレエ・カンパニーの公演が日本で観られるようになったことだけでも、今はただ素晴らしいと思えるのです。 (2001/06/20) (2002年追記) この『The Car Man』公演が成功したという事でしょうか、ついに!2003年2月〜3月に、AMP『SWAN LAKE』日本公演が決定しました。私としてはアダム・クーパーのSWANを観たいのですが、ウィル・ケンプのSWANも観たいですし、他のダンサーでも嬉しい。『SWAN LAKE』を日本で観られるというだけで感激です。 |
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