諏訪緑 作品file

〔3〕作品一覧(発表順)、作品紹介


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作品一覧(発表順)

掲載誌 タイトル 収録本
プチフラワー1984年5月号 バラモンの塔 未収録
プチフラワー1984年8月号 マニア・マニア 未収録
プチフラワー1984年12月号 玉手箱ドーム 未収録
プチフラワー1985年8月号 B型を狩れ! PFコミックス「紀信」
プチフラワー1988年3月号 おろち舞 PFコミックス「紀信」
プチフラワー1988年5月号 邪論の極意 PFコミックス「紀信」
プチフラワー1988年10月号 予知(プロメテイア)の輪 PFコミックス「紀信」
プチフラワー1989年特別号12月増刊 迷宮の美技(ファインプレイ) PFコミックス「紀信」
プチフラワー1990年7月号 紀信 PFコミックス「紀信」
プチフラワー1990年11月号 ネフェルティティの胸像 未収録
プチフラワー1991年3月号、7月号〜1994年7月号 玄奘西域記 PFコミックス「玄奘西域記」全4巻
小学館文庫「玄奘西域記」全2巻
プチフラワー1994年9月号〜1997年11月号 うつほ草紙 PFコミックス「うつほ草紙」全5巻
小学館文庫「うつほ草紙」全3巻
プチフラワー1998年3月号  蠶叢の仮面 PFコミックス「蠶叢の仮面」
プチフラワー1998年5月号 魚鳬王 PFコミックス「蠶叢の仮面」
プチフラワー1998年7月号 柏灌の腕 PFコミックス「蠶叢の仮面」
プチフラワー1998年9月号 扶桑 PFコミックス「蠶叢の仮面」
プチフラワー1999年1月号 西王母 PFコミックス「西王母」
プチフラワー1999年3月号 伏羲 PFコミックス「西王母」
プチフラワー1999年5月号 鼈霊 PFコミックス「西王母」
プチフラワー1999年7月号 崑崙 PFコミックス「西王母」
プチフラワー1999年9月号〜2002年5月号
フラワーズ2002年6月号〜2003年5月号、
フラワーズ2003年7月号〜2005年5月号、
フラワーズ2005年7月号〜2006年3月、
フラワーズ2007年5月号〜2007年2月号
フラワーズ2007年4月号〜7月号
諸葛孔明 時の地平線 PFコミックス「諸葛孔明 時の地平線」全14巻
小学館文庫「諸葛孔明 時の地平線」全8巻
フラワーズ2005年2月号別冊ふろく
 ファンタジー特集「flowers幻燈館」
ひすいの国 PFコミックス「諸葛孔明 時の地平線」11巻
フラワーズ2007年10月号 秦の始皇帝秘話・序章
 蜃市−東方海中に神山あり−
フラワーコミックスα
「ひすいの国 −徐福と始皇帝 奇伝−」1巻
フラワーズ2007年11月号増刊 凛花第2号、
フラワーズ2008年7月号増刊 凛花第4号
フラワーズ2008年11月号増刊 凛花第5号
霊鳥のお気に入り 未収録
フラワーズ2007年12月号〜2008年1月
フラワーズ2008年3月号増刊 凛花第3号
ひすいの国 −徐福と始皇帝 奇伝− フラワーコミックスα
「ひすいの国 −徐福と始皇帝 奇伝−」1巻
フラワーズ2009年2月号増刊 凛花第6号 ヨナの受難−ヘブライ神話より− 未収録
フラワーズ2009年6月号増刊 凛花第7号 ラファエルの理由(わけ) 未収録
フラワーズ2009年10月号増刊 凛花第8号 夏至の花 未収録
フラワーズ2010年2月号増刊 凛花第9号 白い馬 未収録


作品紹介 

バラモンの塔 

初出: プチプラワー1984年5月号
収録: 単行本未収録
頁:  24P
母を探して旅をするシーヤとシータ兄妹のシリーズ。高性能のコンピューターで母親探しをしようとバラモンの塔をたずねるシーヤとシータ。塔の主バラモン・ハルは彼の占いよりもコンピューターを信用する兄妹に腹を立て、「バラモンの塔」というゲームをクリアできたならコンピューターを無料で使ってもよい、という条件を出す。
一応現代モノだと思います。シータ(諏訪緑の自画像イラストに似ている)の服装がダウンジャケット&ジーンズなので。しかしハルはインドの王子様風で顔は『玄奘西域記』のハザクの原型みたいな感じ。シータはエスパー能力(成功率5%程度)の持ち主という設定です。「バラモンの塔」というパズルについて説明しているページ『ハノイの塔で遊ぼう』を見つけたのでリンク貼っておきます。

マニア・マニア 

初出: プチプラワー1984年8月号
収録: 単行本未収録
頁:  27P
母を探して旅をするシーヤとシータ兄妹のシリーズ。ロマンティックなお城に住むヒブトール伯ジャン・カルロは、亡き父が厳重なカギをかけた部屋に残したマニア垂涎のレコード・コレクションを手に入れようと「犬と会話できる人間募集」の広告を出す。父はカギの暗証番号を飼っていた犬だけにおしえていたのだった。貴重なレコードを聴きたいマニアのシーヤは、シータのエスパー能力を利用して犬と会話させようとヒブトール伯の城にシータを連れて向かう。
ヒブトール伯の城はノイッシュヴァンシュタイン城がモデル。ジャン・カルロは、城偏執狂(マニア)でロマンティックな人生をおくったルートヴィヒ二世が理想だといいますが、そのジャン・カルロもまた思わぬもののマニアでシータたちは驚かされます。犬のビーストとシータの駆け引きは『諸葛孔明 時の地平線(8)』の巻末エッセイにある諏訪緑と愛犬クーリーの様子にそっくりです。

B型を狩れ! 

初出: プチプラワー1985年8月号
収録: 「紀信」 小学館 1990年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172131-1)
頁:  25P
ひと月前に赴任してきた道徳教師・柳下の影響で生徒全員に「思いやり」が大流行。生徒同士による精神裁判まで行われるようになり、唯一人染まらずにいた平和えりりは柳下のところへ「みんなが変だ」と訴えに行く。しかし柳下は「俗物に生きている資格はない!」と言い放つ。

「そうなの! みんなが思いやり人間になって以来わたしは俗物におとしめられているのよ こんなの異常よ 許せないわ!!」平和えりり
諏訪緑作品で現代日本が舞台というのは私が知る限りこれだけです。しかも主人公が女の子。他者に影響されないマイペース型人間というのは諏訪作品の女性キャラクターに共通する性格ですね。このえりりちゃんは「あまのじゃくなだけ」だそうですが。

おろち舞 

初出: プチプラワー1988年3月号
収録: 「紀信」 小学館 1990年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172131-1)
頁:  32P
三世紀中頃の日本。青年タケハヤが旅の途中に訪れたある邑では、女たちが次々と山で行方不明になり、八岐大蛇のせいではないかと騒ぎになっていた。おろち退治を買ってでたタケハヤは山に入るが、そこで見たものは、石舞台で舞をまう男とその踊りに魅了され一緒に踊る女たちの姿だった。
旅の途中とは実は「国外追放」中。なんとなく人とズレていて有能なんだか役立たずなんだかわからない男、というのも諏訪作品の主人公に共通の性格でしょうか。

邪論の極意 

初出: プチプラワー1988年5月号
収録: 「紀信」 小学館 1990年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172131-1)
頁:  32P
農の知識が皆無である諸葛孔明は、農の大家・黄承彦に教えを請うため山奥の黄家を訪ねた。しかし黄氏が不在だったため娘の英鈴に畑仕事を教わりながら黄氏が戻るのを待つことに。ある夜、水汲み桶が二重底であることに気づいた孔明は、そこに隠されていた「邪論の極意書」を見つける。「百万の賢人と対しても論破し千万の剣に包囲されても舌先三寸で危難を無難に転ずる」話術・詭弁術の極意書。学問からも国策・難事からも逃げてきた孔明だったが、血を流さずに天下を平定できる、と「極意書」を手に入れる誘惑にかられる。
「時の地平線」の11年前に描かれた諸葛孔明と黄氏の娘・英鈴。殺生アレルギーの19歳・孔明と厳しい農作業指導者・英さんの掛け合いがとてもおもしろいです。この作品の孔明は英鈴いわく「なまっちろくてとんちんかんなことばかり口走るノイローゼぎみの青二才」。そんな感じです。

予知(プロメテイア)の輪 

初出: プチプラワー1988年10月号
収録: 「紀信」 小学館 1990年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172131-1)
頁:  32P
ドリア王女のパンドラ姫は婚姻のためアッテカ国へ。父からアッテカ王が持つ「輪」を盗み送るよう言われていたパンドラだったが、その「輪」はアッテカ王が代々受け継ぐ「予知の輪」であると知り、父の侵略戦争を食い止めるため盗まない決心をする。しかしパンドラが割れた輪を壺に入れる予知夢を見たアッテカ王プロメテウスは、今は盗まなくとも自分が夢に見た以上、いつか必ずパンドラは輪を盗むだろうと言い切る。憤慨したパンドラは、予知の輪に縛られているようだ、自分の考えはないのか、とプロメテウスを非難する。
パンドラ伝説がモチーフ。アッテカは貧しい国なので嫁いできたパンドラ姫も国民と共に畑仕事をします。農作業シーンも諏訪作品の特徴でしょうか。

迷宮の美技(ファインプレイ) 

初出: プチプラワー特別号1989年12月増刊
収録: 「紀信」 小学館 1990年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172131-1)
頁:  32P
大国クレタのミノス王は小国アテナイから毎年若者を貢がせている。アテナイの長老たちはこれ以上人を奪われるわけにはいかない、と王子テセウスにミノス王暗殺を指示する。クレタに到着してから機会をうかがっていたテセウスだったが、クレタの発展振りと、そこで懸命に学んでいるアテナイ出身の若者たちを知り、ミノス王暗殺をためらうようになる。
古代ギリシャ・クレタ島のミノタウロス伝説がモチーフ。牛の怪物ミノタウロスは出てきませんが、ダイダロスや迷路のような宮殿が出てきます。

紀信 

初出: プチプラワー1990年7月号
収録: 「紀信」 小学館 1990年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172131-1)
頁:  45P
紀元前200年頃の中国。項羽と覇権を争い窮地に陥った劉邦の軍に、紀信という白髪の若者がいた。ひねくれ者で王や軍師の悪口を本人の前でも平気で口にする。幼なじみの周苛が必死にかばうが、しかし劉邦は紀信を気に入り、軍師は紀信を劉邦の替え玉役に推薦。ひねくれ者の紀信は殺されることが確実なこの替え玉役を引き受ける。

「夜はいつでも来てるのに/この夜はいつもと全然違っていた/どこまで歩いても朝にたどり着けない/人が人の約束を破ったから/朝も約束を破ったに違いない」周苛
この頃の諏訪作品はほろりと泣かせるものが多く、プチフラワーの中では奈知未佐子さんと同じようなテイストをもつ作家さんだなぁと当時は思っていました。「紀信」では周苛にも紀信にも泣かされ、ラストの紀信の笑顔に深く溜息、でした。三重丸お薦め作品。劉邦が「時の地平線」の劉備そっくりなので、この点でも人に薦めたくなったりします。小学館オンデマンドコミックスで入手可能。

玄奘西域記 

初出: プチプラワー1991年3月号、7月号〜1994年7月号
収録: 第一巻 小学館 1992年3月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172132-X)
     第二巻 小学館 1993年1月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172133-8)
     第三巻 小学館 1993年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172134-6)
     第四巻 小学館 1994年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172135-4)
    
     第一巻 小学館 2000年2月 小学館文庫 (ISBN4-09-191321-0)
     第二巻 小学館 2000年2月 小学館文庫 (ISBN4-09-191322-9)
天竺への取経の旅を成しとげた玄奘三蔵。だが当初、彼は兄・長捷の通訳兼護衛にすぎなかった。唐を出て西域の国々をまわり天竺へ入る。体の弱い兄を助けながらオマケ僧として成長する玄奘。天竺では仏教大学で学び、帰国前にはバラモン、イスラムなど混沌とする天竺国内を見てまわる。宗教が政治に利用される現実に直面し、帰国後の訳経で権力者に隙をあたえないようにするにはどうすればよいか、師や友に支えられながら学んでいく。

「でも なりたいんだ オレ・・・僧に/無知で 無力で 不遜で 臆病で 恥ずかしい人間だが オレは・・・」(イスカンデルクーリの巻)玄奘
玄奘が当初兄の通訳兼護衛であった、という大胆な創作(フィクション)。第一話は読みきり短編として描かれたのだと思います。連載が始まったのは第一話・高昌国の巻の発表後4ヶ月たってから。玄奘が取経の旅で出会う人々との関わりを通して、だんだんとものごとを深く考えるようになっていく(成長していく)のが楽しみでした。ハザク、プラジュニャーカラなど脇役も個性的。諏訪緑本人は「颯秣建国の巻には苦しめられた」と言っていますが、私はこの巻が大好きで、たぶんこのあたりから本格的にファンになったのだと思います。で、次のイスカンデルクーリの巻で号泣。「玄奘西域記」はプチフラワー購入の原動力となっていったのでした。しかし、3巻以降の玄奘とハザクの「友情」は、隔月で読んでいた時も違和感があったのですが、本でまとめて読むとさらに・・・。素直に「名作だ!」と人に薦めにくい何かがあります。史実の玄奘については清水書院の「人と思想」シリーズ106『玄奘』(三友量順 著)がコンパクトで読みやすかったです。

うつほ草紙 

初出: プチプラワー1994年9月号〜1997年11月号
収録: 第一巻 小学館 1995年4月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172136-2)
     第二巻 小学館 1996年1月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172137-0)
     第三巻 小学館 1996年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172138-9)
     第四巻 小学館 1997年4月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172139-7)
     第五巻 小学館 1998年1月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172140-0)

     第一巻 小学館 2003年3月 小学館文庫 (ISBN4-09-191323-7)
     第二巻 小学館 2003年3月 小学館文庫 (ISBN4-09-191324-5)
     第三巻 小学館 2003年4月 小学館文庫 (ISBN4-09-191325-3)
琴を司る清原家の御曹司・俊華牙は16歳で遣唐使副使に任ぜられ、乳兄弟の春音とともに日本を発つ。しかしそこには朝廷を牛耳る藤原氏の陰謀があった。俊華牙らの乗った船は大海には耐えられず難破、多くの乗員が命を落とした。通りかかった商船に助けられた俊華牙と春音は、貢物を失っては唐へ行くこともできないと、船長ナジャの目的地である波斯国(ペルシャ)へ行き帰国への道を拓こうとする。
古典「宇津保物語」をアレンジしたファンタジー作品。当初、私は俊華牙があまり好きでなく、さらに春音が鬱陶しく感じられて熱心に読んでいませんでした。話は面白かったのですが。「おや?」と思い真剣に読み始めたのは俊華牙が日本に帰ってきてから。今でもこの作品は3巻以降の方が好きです。他のキャラクターが生き生きしてくるんですよね。一の宮が特に好きです(山猿貴公子とはいえ、仲忠をぐーで殴る姫宮・・・)。それにしても諏訪緑は子どもから老人まできちんと描きわけているのがすごいです。俊華牙とセライ・ナジャがちゃんと老けていくんだもの。ナジャの、1巻の若造時代、2巻の青年時代、そして3巻以降のジジイっぷりには感動致しました。

蠶叢の仮面(さんそうのかめん) 

初出: プチプラワー1998年3月号
収録: 「蠶叢の仮面」 小学館 1998年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172261-X)
頁:  46P
古代中国。夏邑の后から金(青銅)の製法を見つけるよう命令された技師・無彊は、何でも屋の眉寿に船を頼み江水を遡るが、途中で急流にのまれ遭難してしまう。流れ着いた華陽邑で二人は不思議な母子と出会う。
中国モノですが、舞台は古代。ファンタジー要素が多いです。眉寿にしても「驚愕屋」だし、不思議な力を持つ人々、人ではないものが多く登場します。江水のすてっ子同士の二人は自分たちが兄弟では?と気づきますが、この時点ではまだ謎のまま。

魚鳬王(ぎょふおう) 

初出: プチプラワー1998年5月号
収録: 「蠶叢の仮面」 小学館 1998年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172261-X)
頁:  46P
眉寿と無彊のシリーズ。無彊の育った夏邑に向かった二人は途中、長寿の郷で華陽邑の事情に詳しい不思議な男と出会う。男との会話から、無彊は言葉の意味、ものをあらわす「文字」を作り出そうと考える。一方眉寿は食料調達のため「驚愕屋」の力で鵜を使って漁を始める。しかしそれを見た人々は眉寿を仙人と思い込み、魚鳬王として敬う。貢物に囲まれ舞い上がった眉寿は無彊の作った文字をインチキ祈祷に悪用。これがもとで「痛い」目にあうことに・・・。
不思議な男、仙人の安期生はこの後も、また「時の地平線」にも華佗の養父として出てきます。

柏灌の腕(はっかんのうで) 

初出: プチプラワー1998年7月号
収録: 「蠶叢の仮面」 小学館 1998年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172261-X)
頁:  44P
眉寿と無彊のシリーズ。江水を旅する二人は急流にのまれ再び遭難、流れ着いた邑で若い王子に助けられるが、その邑は治水問題で揺れていた。溜池と水門で洪水の際の安全弁作りを考える第一王子と、川を鎮める鈴と人身御供をという第二王子。文明邑出身の無彊と、川鎮めの鈴を作っていた陶工に育てられた眉寿もまた二派に分かれて対立する。
華陽邑で蠶叢の正体を見ているのに「江水の川底にいる玄亀様」を信じない無彊。文明人ってそういうものなんでしょうか。全てにおいて対照的な二人が面白いです。

扶桑(ふそう) 

初出: プチプラワー1998年9月号
収録: 「蠶叢の仮面」 小学館 1998年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172261-X)
頁:  53P
眉寿と無彊のシリーズ。夏邑に着いた二人は后のもとへ。后は娘の死から立ち直ることができず、安期生と名乗る若い方士を側におき、彼の作る丹砂を飲み仙人になろうとしていた。金(青銅)の器で飲食すれば血肉が不滅となり仙人になれると信じた后は、無彊を幽閉し金の製作にとりかからせる。
華陽邑女后と安期生の関係から眉寿の「体質」の謎が解明されます。無彊は母親似ってわかるんですが、眉寿は父親に似てないですね、顔。このシリーズでは珍しい美形キャラ意期が登場してしまい、眉寿の顔がますます・・・。

西王母(せいおうぼ) 

初出: プチプラワー1999年1月号
収録: 「西王母」 小学館 1999年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172262-8)
頁:  44P
眉寿と無彊のシリーズ。華陽邑へ向かった眉寿と無彊、華陽邑女后の娘・女カの三人は於トの郷で坑道の落盤事故が起きた事を知る。隣邑の圧力に抵抗できない人々は、創世神話を信じ虎の住む山を禁域とする長に隠れて銅山を掘っていた。無彊は他邑に銅を取られるだけだった邑人に木枠坑道を教え、精錬の技術を伝えるが、やがて人々はその技術で武器を作り隣邑へ攻め込もうとする。

「最新技術の伝播ってのは より多くの不幸を発生させるものだと思わない?」意期
眉寿と無彊の妹・女カが巫祝の力を見せつけ、また、新たな仙人も登場しますが、テーマは非常に現代的です。自分の伝えた技術は邑を豊かにするだけではないのだと無彊は思い知らされます。

伏羲(ふっき) 

初出: プチプラワー1999年3月号
収録: 「西王母」 小学館 1999年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172262-8)
頁:  48P
眉寿と無彊のシリーズ。名君と評判の東王公の治める雲夢沢邑に入った三人は、豊かだった邑が4年前に東王公の病以来、暦のズレから農耕に支障が生じている事を知る。王宮のお家騒動に意期もからみ、三人もまた巻き込まれて行く。
女カが親しくなった伏羲は東王公の先妻の王子。主役の二人に意期、伏羲と、「親に捨てられた子ども」の想いが縦横にはしり、他の作品とは少し違った印象を受けます。

鼈霊(べつれい) 

初出: プチプラワー1999年5月号
収録: 「西王母」 小学館 1999年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172262-8)
頁:  48P
眉寿と無彊のシリーズ。巴邑で道に迷った眉寿と女カは崖から転落。無彊は二人の死を確信し絶望する。巴邑の「仮面の王」廩君王の工房で与えられた技術開発の仕事に没頭する無彊は、王のために「虎退治用の投げ剣」を開発するが、眉寿と女カが生きている事を知らせに来た意期から廩君王と真意を教えられ愕然とする。
意期がだんだんといい奴になっていくのが寂しくもあり。知識と技術で理想の国をつくろうとしている廩君王に惹かれていく無彊と、安期生を追いかけている意期がなんとなく重なります。

崑崙(こんろん) 

初出: プチプラワー1999年7月号
収録: 「西王母」 小学館 1999年10月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172262-8)
頁:  50P
眉寿と無彊のシリーズ最終話。巴邑の廩君王は華陽邑へ軍を進める。自分が作ってしまった武器が戦で使われる前に城の守りを固めようとする無彊は、城壁の側まで川の水を引くことを考えつき工事を始めた。しかし巴邑軍進入の直前にその工事を完成させたのは巴邑の守り主・鼈霊だった。
仮面とともに全てを失った廩君王。その孤独を感じて自分も陥った心の闇について告白する無彊。この後悔のシーンは「うつほ草紙」を思い出させます。

諸葛孔明 時の地平線 

初出: プチプラワー(現フラワーズ)1999年9月号〜2003年5月号、2003年7月号〜2005年5月号、
     2005年7月号〜2006年3月号、2006年5月号〜2007年2月号、2007年4月号〜2007年7月号
収録: 第一巻 小学館 2000年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172263-6)
     第二巻 小学館 2001年4月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172264-4)
     第三巻 小学館 2002年1月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172265-2)
     第四巻 小学館 2002年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172266-0)
     第五巻 小学館 2003年2月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172267-9)
     第六巻 小学館 2003年7月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172268-7)
     第七巻 小学館 2004年1月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172269-5)
     第八巻 小学館 2004年7月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172270-9)
     第九巻 小学館 2004年12月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172279-2)
     第十巻 小学館 2005年6月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172280-6)
     第十一巻 小学館 2005年12月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172301-2)
     第十二巻 小学館 2006年5月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172002-1)
     第十三巻 小学館 2006年12月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172303-X)
     第十四巻 小学館 2007年7月 プチフラワーコミックス (ISBN9784091720108)
    小学館文庫 第一巻〜第八巻 2009年9月〜12月
戦乱の中で親を失い兄ともはぐれた孔明は一人で幼い弟妹を養い、農夫として生きてきた。農民による自治組織「塢」に興味を持った孔明は見聞の旅に出る。旅の途中、曹操に出会い、才能を認められ側近として仕えることを求められる。法による統治を理想とする自分と似ていると、孔明は曹操に強く惹かれるが、曹操がもつ理想への強烈な欲望は他者の否定に結びつくと考え、危険を覚悟の上で辞退する。戦乱の世を早く終わらせ中央からの秩序を隅々に行き渡らせたい曹操は、「塢」は農民の地方領主化につながるとして破壊、逃亡農民を殺していたのだった。
掲載誌『flowers』公式サイトの作品解説はこちら

「だってこいつときたら弟妹の手をひいて戦火をくぐってだよ なんでもかんでも家族のためってさあ はずかしげもなく家族路線の男じゃないか?」(第七場)ホウ統士元

タイトルに「諸葛孔明」と入れたのはPF読者以外の、例えば三国志好きな人たちにも興味を持ってもらうためなんでしょうか。書店にならんでいればそれも成功するかも知れませんが、全然見かけないんですけど。まぁ諏訪作品に限らず、PFコミックスって絶対数少ないですからね(せめて連載中の作品くらいキッチリ在庫をもって注文に対応してもらいたい>小学館)。連載途中で掲載誌プチフラワーがフラワーズに新創刊・月刊化。諏訪緑、月刊誌連載なんて大丈夫か?と心配しましたが(大変失礼)、絵・話とも荒れた感じはなく、新規読者にも結構受け入れられているようで安心しました。

2003.07.28:
赤壁の戦いを描く第6巻。売れてるんでしょうか!?書店で「時の地平線」を見かけるようになってきました。上の紹介からもれていた趙雲子竜、周瑜公瑾も現在、主要な登場人物に加わっています。


ひすいの国 

初出: フラワーズ2005年2月号別冊ふろくファンタジー特集「flowers幻燈館」
収録: 「諸葛孔明 時の地平線」11巻 小学館 2005年12月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172301-2)
頁:  4P
秦の時代の「東方不老不死薬伝説」。皇帝に不老不死薬「仙丹」を造らなければ殺すと言われた徐福はある晩、酒に酔って薬屋らしき建物に入りこむ。
思い悩み、酒に酔っても不老不死薬のことが頭から離れない徐福と、「方士の憧れ」安期生のお話です。

秦の始皇帝秘話・序章 蜃市−東方海中に神山あり− 

初出: フラワーズ2007年10月号
収録: 「ひすいの国 −徐福と始皇帝 奇伝−」1巻 小学館 2008年8月 フラワーコミックスα (ISBN9784091316844)
頁:  40P
蜃市(蜃気楼)の見える海岸近くで暮らす12歳の市(フー)は一度見た人間の顔を忘れず、非常に精密な俑をつくる。ある日海岸で溺れ気を失っていたところを市に助けられた男・安期生は、市のつくる俑の精巧さに驚き、興味を持つ。
2007年12月号から始まる新連載の序章。古代中国が舞台の諏訪作品に旅人のように現れる安期生が少年時代の徐福と出会います。徐福と後の秦の始皇帝、「奇しき運命で結ばれたこの同い年の二人の出会いはこれから数年後のことになる」。

霊鳥のお気に入り −ペルシア神話より− 

初出: フラワーズ2007年11月号増刊 凛花第2号
     フラワーズ2008年7月号増刊 凛花第4号
     フラワーズ2008年11月号増刊 凛花第5号
収録: 単行本未収録
頁:  30P、58P、58P
霊鳥のシリエルとバリエルの兄弟は母親スィームルグから人間の子どもを渡され、16年間育てるよういわれる。二人はその銀髪の子どもにザール・エ・ザルと名付け、人間世界から離れた場所で育て始めた。霊鳥兄弟のもとで人間と交わることなく成長したザールだったが、16歳になる直前、スィームルグから自分を人間の市場(バザール)見学に連れて行けという命令を兄弟が受けていることを知り、興味を持つ。しかし市場へ向かう途中、ザールとの別れが近いことを感じ動揺したバリエルの羽から滑り落ちてしまう。気を失っていたザールが目覚めた場所はカーブル王の王女の邸だった。
久しぶりの短編です。登場人物の衣装が『うつほ草紙』の波斯国(ペルシャ)っぽいですね。ペルシア神話より、とありますが、私は元ネタ全然知らないです。有名なお話なんでしょうか。

ひすいの国 −徐福と始皇帝 奇伝− 

初出: フラワーズ2007年12月号〜2008年1月号、フラワーズ2008年3月号増刊 凛花第3号
収録: 「ひすいの国 −徐福と始皇帝 奇伝−」1巻 小学館 2008年8月 フラワーコミックスα (ISBN9784091316844)
紀元前3世紀、後に中国史上初の統一国家を築き「始皇帝」となる秦国第4王子エイ政。身分を隠して「商売」をしていた街中で徐福という若者と出会う。第2、第3王子の葬儀を抜け出し、徐福の働く工房で自らのルーツについて話していたところに、王太子までもが亡くなり秦国の後継者はエイ政になったとの知らせが入る。
2005年フラワーズ2月号別冊ふろくに掲載された「ひすいの国」とは別なお話です(よね?)。『秦の始皇帝秘話・序章 蜃市−東方海中に神山あり−』では子どもだった徐福が16歳になって登場。(まだ始まったばかりなのでもう少ししたらこの紹介も書き直します)

ヨナの受難 −ヘブライ神話より− 

初出: フラワーズ2009年2月号増刊 凛花第6号
収録: 単行本未収録
頁:  40P
天涯孤独の青年ヨナの前にある日、天からの使者アザレアが現れ、「60日後にニネヴェの街を滅ぼす」という主の言葉を預かる。アザレアからニネヴェへ行き預言を告げるよう命じられるが、もともと人と話すことが苦手なヨナは、自分にはそんなおそろしい役目はいやだと逃げ出してしまう。
「霊鳥のお気に入り」のシリエル、バリエルも一コマ登場。『凛花』掲載の読みきり作品は中国から離れ、ペルシア、ヘブライ神話が素材になっています。連載作品『ひすいの国』が秦の始皇帝の話ですから、この路線、楽しめますね。

ラファエルの理由(わけ) 

初出: フラワーズ2009年6月号増刊 凛花第7号
収録: 単行本未収録
頁:  40P
占い師に扮した使者アザレアに「エクバタナで悪運にみまわれている女性サラを助けることができたなら君の運も開けるだろう」と告げられたヘブライの青年トビアは、「エクバタナのサラ」が自分の幼なじみであることに気づき、ヘブライの信仰のない異郷の地エクバタナへと旅立つ。トビアを守護するため、仮の姿で同道したアザレアは、サラの不運が実は魔物にとりつかれているためであること、サラを助けようとするトビアにも生命の危険があることを伝える。しかしそれでもサラを助けたいというトビアに、アザレアは魔物を祓う方法を教え、旅を続ける。
ヘブライ神話シリーズ第2作。前作では人間ヨナが主人公でしたが、この作品ではトビアではなく使者アザリアが主人公。最後まで読むと、「ラファエルの理由」がわかります。

夏至の花 

初出: フラワーズ2009年10月号増刊 凛花第8号
収録: 単行本未収録
頁:  36P
この世を魔王から守る鍵となる夏至の花を摘み取ってくるよう、ザールは司祭長に命じられ、ペルシア北方のバクーへ向かっていた。夏至の花は年に一度、バクーの火の下、夏至の夜に咲く花だという。途中、死神に襲われるが、アザレアに助けられる。アザレアは最近各地で次々と冥界への穴ができる異変の調査のため、「バクーの火」を調べに来ていた。
ヘブライ神話シリーズ第3作。これまでも「霊鳥のお気に入り」のシリエル、バリエルが顔を出していましたが、今回はラファエルと「霊鳥のお気に入り」ザールの二人が主人公。続きは「鍵」を手に入れたザールの話になるのかな?

白い馬 

初出: フラワーズ2010年2月号増刊 凛花第9号
収録: 単行本未収録
頁:  32P
ザールはペルシアの司祭長にトリビシへ行き死神の馬を連れてくるよう命じられる。旅の途中に行き倒れたザールはアザレアとトリビシの少年ダニエルに助けられるが、「白い馬」を探しているというザールの言葉に、自分の大切な馬シロを盗みに来たと思い込んだダニエルはザールを追い出そうとする。1年前、両親が亡くなった後にやってきたシロは、どこからか食べ物を運んできてダニエルを救ったのだった。
ヘブライ神話シリーズ第4作、ですが、今回もラファエルと「霊鳥のお気に入り」のザールの二人が主人公なのでもう単に「神話」シリーズ?


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