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上杉可南子PFコミックス作品一覧


タイトル 発行 収録作品(頁数)
うすげしょう 小学館 PFC-011
1988年9月20日
うすげしょう(30)、山雪花(40)、花の庭(24)、せめて射よかし(50)、魚鱗(16)、無名指(31)
飛天の舞 小学館 PFC-12
1990年7月20日
飛天の舞(84)飛花落葉(32)、綾の鼓(40)、逆光の頃(42)
大正のきいろい月 小学館 PFC-13
1992年2月20日
大正のきいろい月(42)天女のやさしい手(40)、風薫る(35)、禽獣の小屋(32)、春宵夜話(41)
コミックス未収録 四辻の社で(39)


作品紹介(更新:2005/8/15 「花の庭」


うすげしょう 
初出: 1986年プチプラワー11月号
収録: 「うすげしょう」 小学館 1988年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172011-0)
頁:  30P
「うちが・・・ どんだけ兄さんのこと好きやったか思い知らせたかったんや」
友禅の染屋・音科家の兄妹、一央と雪子。彼らの叔母・典子の視点で語られる法事の日の出来事とその夜の事件。基本は少女漫画にありがちな設定であるのに、京都の言葉、友禅の着物、広い屋敷、法事のあとに会食をする料亭、などなど、舞台装置が少女漫画離れしているので小説かなにかを読んでいるのような錯覚を起こす。ドラマ化するなら典子は檀ふみ、雪子は松たか子?(NHKでやった「蔵」みたい・・・年齢的にはもう無理だけど)。雪子の幼さ、明るさ、美しさ、激しさ、すべてを描いているのに物語は破綻もしない。料亭の庭でのシーンと夜の自宅庭でのシーンも俗っぽくならず怖いような美しさ。「何やら 人ばなれした美しさが いつまでも ・・・忘られへんかった」。これがデビュー作とは恐れ入ります。

山雪花 
初出: 1987年プチプラワー5月号
収録: 「うすげしょう」 小学館 1988年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172011-0)
頁:  40P

花の庭 
初出: 1987年プチプラワー7月号
収録: 「うすげしょう」 小学館 1988年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172011-0)
頁:  24P
茶器や美術品を扱う老舗の長女・ふみ子と結婚し婿に入った清太郎。幸せで何の不満もない落ち着いた新婚生活だったが、病弱な義妹・とき子と過ごす時間だけは清太郎を不安にさせるのだった。
自分を慕うとき子と話すとき、とき子につきっきりであるふみ子を見るとき、清太郎は不安になり彼女たちを避けるように実姉の家に顔を出します。熱に苦しむとき子の側で、「いっそはやく死んでくれればいい!!」とさえ思う清太郎。自分の中にある想いから目を逸らし、気づきそうになることを「不安」「こわい」と思う、こういった話を描くのが本当に上手い人だなと思います。

せめて射よかし 
初出: 1987年プチプラワー9月号
収録: 「うすげしょう」 小学館 1988年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172011-0)
頁:  50P

魚鱗 
初出: 1988年プチプラワー4月号
収録: 「うすげしょう」 小学館 1988年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172011-0)
頁:  16P

無名指 −ななしゆび− 
初出: 1988年プチプラワー12月号
収録: 「うすげしょう」 小学館 1988年9月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172011-0)
頁:  31P
「 あの・・・
 握手を
 握手をしていただけますか 」
大正あたり?の京都・祇園が舞台。話自体は、どこかで/何かで読んだことあるような、と思うほどありふれたスタイル。それを、上杉可南子らしいみごとな「少女」漫画に作り上げています。特に、仕込み時代の小槇と士官学校の青年の出会い。これを、「舞妓は芸だけ売っとったらええやないの!!」と後見人の話をつっぱねる新米舞妓の現在とクロスさせる。この作品に限ったことではないけれど、紅といい、軍服といい、病院といい、舞台と小道具をうまく使う人だなぁと読むたびに感心します。この作品は、上杉作品には珍しく情念的世界が薄いです。まだそれ以前の、少女の、そして青年の、初恋のお話。

飛天の舞 
初出: 1990年プチプラワー3、5月号
収録: 「飛天の舞」 小学館 1990年7月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172012-9)
頁:  84P
大和の猿楽一座。ふらりと出て行ったまま行方不明だった大夫が二ヶ月ぶりに一座に戻ってきた。悪びれもせず近江への興行を言い出す大夫に、息子の鬼夜叉は素直になれない。大夫の不在で経済的に行き詰まった一座を養うため、鬼夜叉は興福寺の院家に参勤していたのだった。大夫の帰還と新たな興行計画に活気を取り戻す一座。父子の溝が埋まらないまま、一座は近江の国に乗り込み、天下一とほまれの高い舞の名手、犬王と舞台で対決する。
「のちの観阿弥・世阿弥を主人公に、幽玄な能の世界を描く」。全体的にはコミカルですが、前半は大夫・鬼夜叉の父子の葛藤、後半は大夫・犬王が繰り広げる舞の死闘、が中心。

飛花落葉 
初出: 1988年プチプラワー8月号
収録: 「飛天の舞」 小学館 1990年7月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172012-9)
頁:  32P
応安四年(1372年)、観世大夫率いる大和の猿楽一座は摂津須磨寺で勧進興行を行っていた。鬼夜叉はふとしたことで知り合った公家・雅平に気に入られ、毎日屋敷へ呼ばれるようになる。吉野の歌を詠んだためお上の不興をかい都落ちした雅平だったが、鬼夜叉に歌を教えて過ごす日々に癒されていく。しかし間もなく一座が須磨での興行を終えて大和へ帰ることを知る。鬼夜叉がいなくなることに耐えられない雅平は、夜の闇の中へ、彼を連れ出す。

「どうして手をしばるの? どこいくの 雅平さま」
「匂やかなりし いにしえの 魂降る天地へな そなたに私の知るすべてを教えてあげよう
 それまで離ればなれにならぬよう こうしておくのじゃ」
「飛天の舞」よりも前の話なので、鬼夜叉は「まだ十にも満たぬ童」。雅平に甘える鬼夜叉は、とても無意識の子どもとは思えない、妖しい雰囲気なのですが。うろたえる雅平のせいで、すべて「秘め事」であるかのように思えてしまいます。上杉可南子らしい作品。もう少しページがあれば鬼夜叉に傾いていく雅平をもっと丁寧に描けたでしょうに。その点だけがもったいないかな。

綾の鼓 
初出: 1988年プチプラワー6月号
収録: 「飛天の舞」 小学館 1990年7月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172012-9)
頁:  40P

逆光の頃 
初出: 1990年プチプラワー1月号
収録: 「飛天の舞」 小学館 1990年7月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172012-9)
頁:  42P

大正のきいろい月 
初出: 1991年プチプラワー11月号
収録: 「大正のきいろい月」 小学館 1992年2月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172013-7)
頁:  42P
風俗絵師の伊藤晴雨はある日、一人の老女と知り合う。口のへらない、乞食同然のその老女がもとは吉原の花魁だったこと、そして三次という男が自分の食い分をより分けて弁当にしては彼女に運んでいるという話を聞き、興味を持つ。老女は本当に「高尾太夫」だったのか?三次という男との関係は?

「皆は知らないんです まわりの者があっしをさげすんでいた時 あっしがどれほど幸福な時間を生きていたかということを」
伊藤晴雨はグロテスクな絵ばかりを描いたことで有名な絵師で、最近は「およう」という映画で竹中直人が演じていたそうです。この作品の晴雨も「きれいな女の困った顔が好き」だと酔ってわめきます。「醜悪をかねそなえた美」を描こうとしている晴雨だから、老女と三次の関係に興味を持ったのでしょうか。

天女のやさしい手 
初出: 1991年プチプラワー3月号
収録: 「大正のきいろい月」 小学館 1992年2月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172013-7)
頁:  40P
誰に対してもやさしい二歳年上の幼なじみ、姿子に想いを寄せる陽司。「なけなしの脳みそを死ぬほどこき使って」姿子の高校に入ったが、そこには彼女につきまとう男がいた。何度も拒絶しながらも姿子が心の奥ではその男を待っているように思え、陽司は不安になっていく。
いつか彼女が「その男」を受け入れる日が来るだろうと思わずにはいられない少年の不安と苛立ち。優しいお姉さんの表情と「男」に見せる毅然とした表情、そして陽司の中にいる天女の微笑みが、台詞の少ない姿子を「淫らな心をおこさせる吉祥天女」にしていて落ち着かない気分にさせます。

風薫る 
初出: 1990年プチプラワー7月号
収録: 「大正のきいろい月」 小学館 1992年2月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172013-7)
頁:  35P

禽獣の小屋 
初出: 1990年プチプラワー11月号
収録: 「大正のきいろい月」 小学館 1992年2月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172013-7)
頁:  32P

春宵夜話 
初出: 1992年プチプラワー1月号
収録: 「大正のきいろい月」 小学館 1992年2月 プチフラワーコミックス (ISBN4-09-172013-7)
頁:  41P

四辻の社で 
初出: 1992年プチプラワー5月号
収録: プチフラワーコミックス未収録(PFコミックス以外に収録の可能性あり。確認中。)
頁:  39P
地主の息子・朝太郎と、わずかな田畑を持つだけの兼穂、そして朝太郎が想いを寄せる少女・喜和。ある晩、兼穂は久しぶりに会った喜和が娘らしくなっているのに驚く。数日後、村の青年団の中で揉め事が起こり、喜和の目の前でケンカが始まってしまう。彼女を家に送るよう朝太郎に頼まれた兼穂だったが・・・。
展開が少々唐突な印象。絵、話とも艶がなくなってきているような気が。「綾の鼓」の頃にはあった男女の視線が絡み合う時の緊張感があまりない。これは兼穂と喜和ではなく、朝太郎と兼穂の物語だからなのかもしれません。

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